基本的に壁打ち

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オールライト

アジカンの25周年ライブ、25th Anniversary Tour 2021 Special Concert “More Than a Quarter-Century” に行ってきました。

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本当に……めちゃくちゃ楽しくて、胸がいっぱいになって、またがんばろうと心から思ってたくさん元気になった、そんな夜でした。行けて本当によかった……すごく楽しかった……。

25周年ライブということで、「リライト」とか昔の曲たくさんやってくれたらいいな~!と気軽に思いながら行ったら、序盤の「アフターダーク」聞いた瞬間になんか……もう……完全にスイッチが入ってしまって……そのあとの「リライト」で一層ウワーーーッとなり、自分のこれまでの人生を振り返ってしまった。鋼の錬金術師で知り、そのあと中学のときにCD借りて繰り返し聞いて好きになって、高校・大学、就活と卒業で大変だったとき、仕事が大変なとき、仕事がつらいとき、こんな仕事やってられっかというとき、いつもアジカンの音楽とともに過ごしてきたんだなと……。

たくさんある好きな曲のなかでも、私はとりわけ「未だ見ぬ明日に」と「All right part2」が好きなのですが、日々いろいろあるけどなんとかなる、なんとかなっていくから大丈夫、そういう気持ちになれるところがめちゃくちゃいいんですよね。いま目の前は全く大丈夫じゃないのだが……というときは誰にでもいつでもありますが、や~~そうはいっても大丈夫なのかも、そのうち大丈夫になるのかも、と思えたらきっとなんとかなるし大丈夫だと思うから……。

昨年後半から身の回りがしっちゃかめっちゃかになっており本当に怒涛の日々で、本当に嵐の渦中で波に飲まれて沈没寸前というときには心の余裕なんか全くないし、文字通り阿鼻叫喚だったけれど、なんかそんな日々でも過ぎていくんだよな。過ぎれば終わっていくし、終わっていけば忘れていくし、あのときの殺伐とした気持ちは紛れもない本物だけど、人に話すと本当にめちゃくちゃな状況すぎて思わず笑ってしまうし。そうやって、何も大丈夫じゃないが!?!!?という日々も永遠ではないし、なんだかんだやっていくんですよね。生きていくってそういうことなんだろうな……。

昨年来、そんなこんなで生と死について考えることが多い、というか考えざるを得なくて、そうするとこう、心の余裕とか豊かさみたいなものはゴリゴリと失われていくんですよね。生きていくって本当に大変だし苦しみの連続なのかも……という気持ちはたぶん一生変わらないし、そういうものを思わなくて済んでいた頃には戻らないし戻れないし、あったことはなかったことにはならない。それでも今は若干状況も落ち着いていて、心や生活の豊かさというものに思いを馳せられるだけのキャパシティが戻ってきているので、また自分の大切にしたいもの、確かに受け取ったうつくしいものをそれでもずっと離さずに抱いて生きていこうという気持ちを持てるようになっています。

仕事が激忙しいとはいいつつ、そんなタイミングに今日のライブに行くことができて、体験することができて本当によかった。

去年は生活がめちゃくちゃになる直前にタイミングよくサカナクションのライブにも行くことができ、たくさん踊ってめちゃくちゃ楽しくて……そのときにも思ったのだけど、「自分の好きなものがある」ってものすごいことなんですよね。音楽でも物語でも体験でも、自分の好きなものが自分を形作っている。食べたもの全部でからだができているように、自己というものも自分が取り入れたもの全部でできている。食べたものみんな、私の一部になっている。

生活というものは本当に大変なので、豊かさというものを持ち続けることは本当に難しい。それでも、日々奔流に流されるなかで向き合う余裕がなくても、日々に置き去りになっていても、食べたものはみんな私のなかにあるんだよなということを、今日のライブの間じゅう、しみじみと噛み締めていました。この先もまた生活がめちゃくちゃになって破滅的な気持ちになったり、意味なんてどこにもないと思うこともたくさんあるだろうけれど、それでも私が食べてきたものはみんな、私の過ごしてきた時間のなかにある。確かに受け取ったうつくしいもののうつくしさは、それを受け取ったことはなかったことにはならない。そしてそれらはみんな、私が降り向けばいつでも寄り添ってくれる。なくしたくない輝くものが、また明日からがんばるための元気をくれるのです。

だから大丈夫。この先も、きっと大丈夫。そう思える、そう思えるようになれるたくさんの音楽が、これまでもこれからも私の日々にあること、本当にありがたいことだなあと思うばかりだし、たぶん一生好きなんだな……と思いました。そう思えるものがたくさんあることのありがたさよ……。

ラストの「海岸通り」を横浜で聴けたこと、すごくよかったし、めちゃくちゃ胸がいっぱいになった。「海岸通り」、勝手に小説風のラストのイメージがあるんだよな……。再録ソルファで締めが「海岸通り」になったのもめちゃくちゃ好き。今日は本当に暖かくて晴れていて気持ちのいい日で、春だなあと思いながらライブ前の中華街のお散歩をしていたので、そういうのも相まって本当にすごくよくて……!最初から25年フルで追ってきたわけではないけれど、それでもアジカンとともに過ごしてきた日々を思い、ここまできたんだよなあ……という感慨でいっぱいになる、今日にぴったりのラストの曲でした。

それで、そのうえでアンコールが「遥か彼方」なの、最高最高最高!!!!!よ、よすぎる…………。ウワーーーッとなって胸がいっぱいになって……!!!ここまできてまたここから、この先も遠くへ向かっていく、そういう本編からアンコールへの流れ、本当にすごすぎる……。そしてアンコールの本当に最後が「今を生きて」というさあ、もう、もうね……ありがとうしかないんですよ本当に……。

MCで「出入り自由なんで」って笑っていたのがとても印象的でした。自分以外のすべての道は近づいたり離れたり交わったり遠ざかったり、どれひとつ同じものはないけれど、それでも近づいたり交わったりできるということは本当に得難いものだと思うし、そういうたくさんが私がニュートラルに戻るためのハーケンになり、私の日々を大丈夫にしてくれるんだよな……。離れても、遠ざかっても、手を放しても、確かに受け取った、そのことだけは変わることはない。永遠や絶対というものがない世界で、唯一確かなもの。とても不確かで曖昧で頼りなくて、それなのに自分を形作る、これ以上ないほど強固なもの。

私にとっての「数十年で消える弱い愛の魔法」のひとつは、間違いなくアジカンの音楽です。25周年おめでとうございます、そしてこの先もまた、よろしくお願いします。