基本的に壁打ち

長文たち Twitter→hisame_tc

愛しているから笑ってくれ

大学の部活の先輩に、パズドラの頃からフレンドさんでお世話になっている先輩がいます。その先輩のコメント欄が2章クリア後「ナポオフェのオタク……」になっていたのを見て、そんなに……と思っていたのですが、先輩、わかります。私にもわかりました。北欧、いろいろな愛の物語だった……

7月18日に配信されたゲッテルデメルングですが、ちょうどその頃仕事が修羅場だったこともありスタートは遅めでした。「消えぬ炎の■■■」が快男児だとわかったときにはまさかの3文字にツイッター大盛り上がりだったのに、蓋を開けたら……開けたら……!!!!

私は展開予想を当てられない人間なので、「アーチャーのナポレオンは人々の願望やイメージの反映で、ライダーが史実のナポレオンらしいよ」とフォロワーさんに教えていただき、ナポレオン(弓)は実は異聞帯サーヴァントで、史実のナポレオンがかくあるべしと望まれたナポレオンを打ち倒す話だったらどうしよう……実質ブレイブストーリーじゃん……などとのたまっておりました。何も明らかになってないからって好き勝手言い過ぎでしょ……

本当に、開始前に何も知らずに色々言っていた頃が遥か昔に思えるほど、たくさんのものが詰まった異聞帯でした。ということで、書こうとするたびにハア~~~~~となったりイベントを走ったりしていて遅くなりましたが、橘FGO「無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング」感想です。

 

ロストベルトNo.2 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング(8/1~8/8)

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■認識をかたちづくるもの

2章の後半に差し掛かったあたりから感じていて、プレイし終わったいま殊更強く思うのは、2章、あまりにもテーマの反復が上手いということです。ツイッターでも何回か話していたように、反復によって「そうだったのか!」がどんどん増えていき、情報が多層的・多面的になっていくという構造が本当にすごい。そして起承転結の構成がうつくしいからこそ、反復が本当に効果的に生きてくるんですよね……!またこの話をして恐縮なんですけど(でもサビだからまた話す)、真実なんてものは結局のところどこにもなくて、あるのは事象と主観だけで、何をもってその事象を捉えるかによって「自分が認識している事実」は簡単に姿を変えるんですよね。どれだけの情報が手元にあるか、どの立場からものごとを捉えるかという、事象を捉えるための角度のようなものに応じて認識は容易く変化する。

いったいどんな過酷な地が広がっているのかと思えば、北欧は穏やかなところで、子供たちは健やかに暮らしている。子供たちが穏やかに暮らせる場所なのかと思ってよくよく話を聞けば、大きくなって大人として生き続けるのではなく時がきたら死ぬことが定められているのだという。どれだけ穏やかに見えてもやはり異聞帯、そもそもの価値観が全く違っている別の文化なのだと認識を改めつつ進めていくと、最後の最後でそれ以外に人類が生き延びる方法がなかったのだということがわかる。

2章を読み進めるなかで一番多く認識が二転三転したのはこの点だろうけど、2部序と1章から思い描いていたキリシュタリアの人間性はオフェリア視点の回想でがらりと印象を変えるし、2章において大令呪とはどういうものか明らかになってはじめて、1章におけるアナスタシアの言葉が本当に意味するところを知る。

このように、情報が次第に開示されることで認識の解像度は上がっていく。「こういうものなんだろうな」という自分の認識は自分の手持ちの情報だけに基づく推察に過ぎなくて、知らなかった新たな一面を知れば認識は何度でもアップデートされうる、ということが繰り返し示されているわけです。

FGOにおいて「形に残らないとしても自分がしてきたことは無駄ではない」「たった一つだけの正しさというものはなく、だからこそ悩みながらも自分の手で選択をする」というのは繰り返し提示される大きなテーマだと思っているのですが、これらをテーマとするに当たって「見つめる角度によって認識は容易に変化する」ということを取り上げるのは物語に対してとても誠実だなあと思います。それが最後のムニエルさんとダ・ヴィンチちゃんの会話における「人間は『顔を知っている』者とだけ戦うべき」という部分に繋がるわけで、それが自身の世界を守るために戦うことを選んだカルデアの彼ら彼女らの責任であり、その責任とちゃんと向き合う物語なんだよな。この選択と責任というのも1章から2章までの大事なところで繰り返し示されていて、そこも含めてやっぱり反復が上手いな~~物語の構成が本当に上手い……と何回も噛み締めてしまう。

真面目な前段を終えたのでホームズの話をしますが、私はホームズの顔が本当に好きで(ホームズちゃんとたくさん好きなんだけどなんかもう顔が本当に好き)、宝具のたびにしみじみと顔がいい……と呟いてしまうタイプなんですけど、2節、こんなことがあるか!?!!?!?というくらい動揺してしまった……「え? 本当に?」とか「は! 失礼、きまっていた」とかなんだそのかわいい言い方~~きまってたって何~~~~と不意打ちにンンンッとなっていたんですけど、ホ、ホムーーーーーー!!!!!死ぬなーーーーーーー!!!!!!!!!とあまりに動揺しすぎて指先ビリビリしてしまった。差分……差分…………ダ・ヴィンチちゃんの「下手すると君ここで退場だぜ」完全にフラグだったんじゃん……素面だと難しいとかほんとそういうこと言うなよ……!!!!ガチャの先行実装でシグルドさんの一人称が当方なのは知っていたので、一人称違いを見てどうやらあのブリュンヒルデさんラブなシグルドさんじゃないっぽいぞ……などと余裕で構えている場合ではなかったし、目の色が赤のときはあんなかんじで青だと穏やかというか本来の彼なのかな、それ完全に怒りで我を忘れている王蟲じゃん……絵面は東京喰種だし……とか呑気に思っている場合でも全然なかった。炎の正体を話そうとすると必ず邪魔が入るホムにふふっとなっていたのだけど全然そんな場合じゃなかったじゃん!!!動揺しすぎてホームズもう使えない……???と一瞬思い詰めたけど(橘カルデアにはなぜかホムがいるのだ)、なんとか生きてくれて本当によかった……よかった……!!!

そして、これは今から思えばという話なんですが、前述の「情報の多層化に伴う認識の変化」を物語の下地として反復するにあたっては「シャーロック・ホームズの不在」というのは必要不可欠な舞台装置だったのかなと思いました。FGO3周年記念のFateシリーズのPVでもホームズは「真実を照らす者」だったし……ていうかあの激ヤバウルトラスーパー莫大熱量動画本当にすごくないですか!!?!?!?これが公式PVの力……ありがとう……ありがとう……めちゃくちゃヤバイ……サムネがセイバーなのも本当に本当にすごい……もし万が一まだ見ておられない方がいたら絶対に見てほしいしなによりこのブログを読み返した私が絶対また見たくなるからリンクを貼っておくね……


The Essentials of “Fate Series” - 人類史最大の英雄譚 - | Fate/Grand Order 配信3周年記念映像

まだ話すべき段階にないと言いながらも、その姿勢によって言外に「何かありますよ」という提示をしてくるホームズがいることで、プレイヤーの意識は「最終着地点はどこなんだろう」というところに向かっていくように思います。虚月館殺人事件がまさにそういう感じだったよね。あれも性癖直撃概念もりだくさんで大変だった……探偵がいるということは謎解きがあり、「至るべき真実」というゴールがあるように感じる。実際は探偵がいてもいなくても情報の多寡によって認識が変化するというのは変わらないのだけど、やはりゴールを意識するかしないかという点において探偵の存在は大きな影響力があると思うし、受け取り手の心理は無意識的に、謎解きという答え合わせに向かっているような方向性になるのではないでしょうか。

最後の最後まで認識が変動する2章において、「答え合わせ」という意識をプレイヤーから取り除くためにはやはり探偵の不在が不可欠だったのではないかな。人生において、全ての情報が明確に開示されることはあり得ない。「まだ開示されていないもの」が何か最後までわからないからこそ、怒濤の最終局面にあれだけ心揺さぶられたのだろうな。

 

■話をすること、相手を知りたいと思うこと

このブログ書くにあたってちゃんと読み返しているんですが、3節時点でフォウさんが空の鳥に向かってフォーウ!てしてるの、伏線がすごい……!ゲルダちゃんと初対面時、マシュの「彼女が喋っているのはスウェーデン語?」「少しだけ聞き取り難い。気のせいか、どこか訛りがきついような」という内心の台詞があり、実はここですでに古語というのが言及されているんですよね。ゴルドルフ所長が服装につきてプリミティブと言っていたり、読み直すとああーー!!となるポイントがとても多い。それでいて初読時には神代が続いてるからか~程度にさらっと流せてしまえるというの、バランス感覚がはちゃめちゃに良い……すごい……!あと2章、フォウさんめっちゃしゃべるけどこれフォウさんまたなんかありますよね!?ぜったいにそう……たのしみ……

穏やかで友好的で明るい北欧世界の実態が明らかになる3節・4節、全く異なる価値観に対する違和感の描き方が本当に上手い。後から完全に異なるものだと明らかになるような描き方をする物語に対して読者が「これは全く自分の理解の及ばない価値観/世界なのだ」と感じるとき、大抵は不気味さや空恐ろしさが先に立つように思うのだけど、2章においてはそういった底の見えぬ穴を覗きこんでしまったような冷え冷えするような感覚をほとんど受けず、どちらかといえばやるせなさや切なさを感じる。この絶妙のバランス感覚本当にすごくないですか……!?「大人になれない」ですらないんだよな、「大人にならない」ことが当たり前の世界……それが世界の当たり前のことだから「受け入れる/受け入れず抗おうと思う」という選択肢がそもそも存在しない。そして朝になったら日が登るくらい当たり前のことだから、言葉を失うマスターやマシュやゴルドルフに対して困惑し、「難しくてわからないの」と申し訳なさそうに言う。ゴルドルフが様々な人生の可能性について説明しても、その可能性は彼女にとっては生身の選択肢ではないから、物語の中の世界のことのように捉えて「素敵ね」「そんなの考えたこともなかったわ」と笑う。なぜそんなことを聞かれるのかという困惑とリアルでないものに対する屈託のない好感が淡々と描かれているからこそ、そういうやるせなさ、もどかしさ、切なさを感じる。このあたりのバランス感覚が本当にすごいなと思った……そしてそんなゲルダが、おそらく初めて選んだ自由が幕の閉じ方というのがね……本当に……

ゴルドルフ所長がゲルダちゃんに聞くとき、最初は淡々と説明しようとしているのに、段々感情が押さえられなくなっていくところに、なんというか所長の人の良さが垣間見えてグッときてしまった。というかそれをマシュに言わせる前に所長が言うんだよな……所長、マシュもマスターもまだこんな子供じゃないか!くらいに思っていそうで、「子供がちゃんと大人になる」ことは大人の責任と思っていたりするのかな……とぼんやり思うなどした。 だからスルトとの戦いで無茶を承知で出撃を提案するダ・ヴィンチちゃんやホームズや、それに頷くマスターとマシュに対して、ゴルドルフ所長はちゃんと無理なものは無理だと、そんな選択をするべきでもさせるべきでもないと言えるんだろうな。読み直したとき、ホームズに対する「わ、私は! 貴様を殴ってやりたい!」読んで泣いてしまったよ……ウウーッ所長……

そしてゴルドルフ所長が「大人になったら子供や孫ができるもの」に留まることなく、色々な生き方があるんだよ、と言ってくれたの、なんだかとても救われるなあと時間が経つごとに強く思う。昨今、こういったテーマに対する作品内での言及って以前に比べて何倍も配慮と丁寧さ・慎重さを求められるようになっていると思うのだけど、こういうふうに丁寧さを見せてもらえると私はファンとして本当に安心できるんですよね。ありがとう……これからもFGOについていくよ……!!!

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スカサハ=スカディ女王の「殺そうか、愛そうか」が唯一の判断ラインというの、今回も獅子王とコアトルさんの女神の視座を思い出した。そして北欧異聞帯の唯一の神・唯一の母としての姿勢が徹底しているからこそ、最後あの選択になるというの、反復による下地づくりがめちゃくちゃに上手……すごい……。

そしてついに登場するナポレオン、いったいどんな感じなのかと思ったら、めちゃくちゃにかっこいい!!!!快男児ーーーーー!!!!の一言に尽きる……!!!!あの現れ方はずるい……ずるいでしょ……しかも宝具ボイスが声を張るかんじじゃないところが特にーー!!!特にーーー!!!!!あまりにかっこいいのでむしろずっと、味方だよね……?人理の英霊だもんね……!?これで裏切られたら立ち直れない……ううっ信じたい……信じていたい……と無駄に不安になってしまった。今読み直すとこんなにも何度も自分は人理の英霊だって繰り返してくれてたんだなあ。ううっ好き…………

城内におけるオフェリアさんとマシュの会話に、ああ……道が別たれてしまって……マシュは強い瞳をするようになったし……ってじーんとしていたところ、ナッさんがめちゃくちゃブッこんでくるから温度差で風邪引きそうになってめちゃくちゃ笑った、んですけど、これ展開を知ったうえで改めて読み直すとさあ~~~~!!!!!ナッさん……!!!!!最初は普通にナポレオンって呼んでたのにどんどん好きになって呼び方がナポレオン→ナポさん→ナッさんという謎の変遷をしている。マシュの婚約者(およめさん)がかわいすぎたし、ナッさんがこの言い方はよくない……ていうのもかわいかった。このあたりですでにふせったーで「北欧は愛の話なんだよなあ」って言ってたんですけどやはり自分の感想はめちゃくちゃに信頼できるな。そう、冒頭でも書いたし後述もしますけど、北欧、いろいろな愛の物語なんですよね。神の愛、人の愛……この話をするためにこのブログを書いているといってもいい……

オフェリアさんの魔眼、とってもおしゃれだなあ。「私は、それが輝くさまを視ない」で封じられるマシュ、そう、マシュは輝くものなんだなあ……となんだかじんわりした。

バトル面では、シグルド戦にマシュ+アンデルセン先生+エウエウで臨んだところ安定しすぎてめちゃくちゃ余裕で、安定しすぎるあまりこのパーティー誰にでも組めるとか嘘やん……みたいな気持ちになっていました。FGOはこういう、レア度関係なしに工夫次第でどうとでもなるところが本当にありがたい……!エウエウの宝具くらうたびに「耐えなければ……!」ていうシグルドさんおもしろかったな。モールドキャメロットと貴方の為の物語重ねまくったところ、回避も無敵もなしでマシュがシグルド宝具持ちこたえたのが超絶アツかったです。
ナッさんをサブにしてしまっていたのでオフェリアさんにいいところ見せられなくてごめんな……という気持ちになってたところ、ちょうどマシュが下がってしまって、それで出てきたナッさんの即NPアップ→オフェリアさんの即NPダウン、めちゃくちゃ笑った。オフェリアさん辛辣!!でもこれ今改めて思うと、オフェリアにとってはナポレオンは輝くものという意味なわけで、ハア~~~~~~本当にもうやばすぎるでしょ……何……???初見時全く思い至らなかったんですけど……???これはシグルド残りHP1003でも自前バフ全盛り+宝具+バスター2枚のバスターチェインでオフェリアさんにいいところ見せようぜ!!とテンション上がって撮ったスクショ。

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シグルド強制再臨時の「英霊シグルドの手による」て言い方がなんだか引っ掛かり、シグルドの霊基に何かを上書きしてるのでは……と予想していたので、のちに正解とわかって嬉しかったです。

夢に落ちたとき、またしても助けてくれる岩窟王、やっぱりいい人だ……いい人なのに私は岩窟王のことを何も知らない……と岩窟王が助けてくれるたびになんともいえない気持ちになってしまう。監獄塔復刻是非よろしくお願いします……。そしてそしてシトナイさんめちゃくちゃびっくりした!!!ヘラクレスバーサーカー呼びからの「守ってくれてありがとう。いつも私を守ってくれるんだね──」でこれは……!もしや……!!と思っていたらやっぱりーー!!!めちゃくちゃびっくりした……!イリヤちゃん……!!雷帝みたいな突然実装もTLでのネタバレもなくてよかった……!!

さて、このあたりは起承転結でいうところの承にあたるのかなと思うんですが、北欧世界の構造、ナポレオンの譲れない事情、キリシュタリアからの宣戦布告、シトナイの存在、そしてブリュンヒルデの存在等、様々な情報が明らかになる、後に繋がる重要な部分だからこそ言葉・対話が重要な意味を持っている。それを象徴するのがスカサハ=スカディの「言の葉には意味が宿ろう?」という台詞のように感じます。いやまあ言ってしまえば言葉や対話が大事なのは全てにおいてなんですけど、城内におけるマシュとオフェリアの会話をはじめ、殊更その部分にフォーカスしているような印象を受けました。マシュがオフェリアに対して「以前のわたしは皆さんと会話をしていませんでした」「わたしはAチームの皆さんを知ろうとしなかった。だから──だからこそ、皆さんの事を知りたいのです」と語りかけたように、話をすることは相手を知ろうとすること、話をしたいと思うことは相手を知りたいと思うことなんですよね。そして、対話を通じて他者と触れあうことで色々なことを感じ、思い、考えるようになる。その過程はまさしくマシュがここまでずっと経験してきたものであり、そうやって感情というものの解像度は上がり、一言では言い表せない、グラデーションの微妙な色合いのような、細やかな感情を獲得していくのだと思います。1部を通じて様々な場所でたくさんの人と話して、たくさんのことを経験して、自分の考えや思いを言葉で伝えられるようになったマシュ、まさしく成長だし、「私に色彩をくれた」なんだよな……

言葉によるラベリングについては1章感想(願いに罪はあるか - 基本的に壁打ち)でも言及していますが、言葉という輪郭を得たことではみ出しとして削ぎ落とされてしまう感情もあれば、言葉という輪郭を得てはじめて認識される感情というものもある。ゲルダは北欧異聞帯以外の価値観を知らないながらも自分の言葉で真摯に話をし、そんな彼女に対してゴルドルフはちゃんと言葉を尽くす。マシュはオフェリアに「敵になったつもりはありません。あなたたちと対話する意思が、わたしにはあります」と呼び掛け、オフェリアは「本当に、アナタとはもっと話をしたい」と言いながらも対話を拒絶する。言葉を尽くすことは相手に対する誠意だし、対話の拒絶は関係の拒絶なんですよね。これ関連ですが、このあとコヤンスカヤがオフェリアに「そんなだから──ミス・キリエライトに拒絶されるんですよ。あなたとはお友達になりたくありません、って、ね?」と言うけど、違うよーーーッ!!!マシュは話をしましょうって言ってたじゃん!!!!そんなことないよーーーッ!!!!コヤンスカヤは黙っててくれや!!!!!!!となりました。あえていい感じに解釈を曲げて伝えて本来の意図や事実と違うように思い込ませるのはやめろ……!!!!

そしてこれを書いてるときにふと思い出したんですけど、終章感想(彼女の旅路を振り返る 後編 - 基本的に壁打ち)のⅡの座のところでも「浪漫を語るのは文学だし思いを伝えるのは言葉」と書いており、もしかして1部と2部、対応していたりしませんかね?1章はアマデウスサリエリだったし……いやこじつけおたくのこじつけに過ぎないかもしれませんが……浪漫を語るのは文学だし、思いを伝えるのは言葉だし、愛を語るのも言葉なんだよな……言葉を尽くして言葉では描ききれない感情をなんとか伝えようとする二人が本当に本当に好きだし、言葉にしないから相手に届かないまま消えていく感情を抱いている片方と相手の内心を知らないままの片方という二人も同じくらい本当に本当に好き……

 

■彼女たちの愛

上で触れた感情の獲得、そして細分化については、まさしく戦乙女たちの戦いのなかでとても丁寧に描かれていましたね。一言「愛」と言っても、まるで春の日向のような暖かで穏やかな愛もあれば苛烈に身を焼く炎のような愛もあるし、その存在すべてをただまるごと慈しむ愛もある。相手を思っているから自分にできることならなんでもしようとする愛もあれば、本当は相手を思っているのにそれが表にうまく出ずに誰にも伝わらない愛もある。北欧はいろいろな愛の物語で、それを愛という言葉をほとんど使わずに描いているからこそそれぞれのかたちが克明に浮かび上がっているように感じました。

スルーズとヒルドとオルトリンデは、自分達は精神などという不確実性を持たないと言いながらもブリュンヒルデに対して何度も「なぜ」と問い掛け続け、溢れる感情のままに槍を振るう。ブリュンヒルデが人となってシグルドと過ごしてこころを獲得したように、彼女たちは3000年の時を経るなかでいつの間にかそれを獲得している。

そもそも、戦乙女は本来不確実性を持たない機構だと言いながらも感情は最初から有しているわけで、その時点で彼女たちにこころがないわけがないんですよね。精神、感情、情動、こころ、表す言葉は複数あっても結局は同じもの、というかそれぞれが不可分に繋がりあっているもの。感情はこころがあるから生まれて、こころがあるから感情がゆらぐ。量産型の戦乙女たちからは不確実性が排除されているから感情もなければこころもなく、感情を有しているブリュンヒルデ、スルーズ、ヒルド、オルトリンデにこころがないわけがない。マシュの場合は彼女自身の経験や他者とのふれあいを通じて感情を獲得していったけれど、そういう意味では、最初からそもそもそれらを手にしている彼女たちに対しては感情の自覚という表現のほうがぴったりかもしれません。感情を自覚し、言葉とともに認識するけれど、枠組みとしての言葉は同じでも中身の感情は人によって千差万別で、全く同じものはどこにもない。だからスルーズとヒルドはオルトリンデに対して「貴女は駄目。連れてはいけない」「あなたはあなたの好きにするといい」と言う。スルーズにはスルーズの、ヒルドにはヒルドの嫉妬という感情やその言葉の枠に収まりきらない思いがあるように、オルトリンデにもオルトリンデだけのこころがあるから。そしてオルトリンデは、感じることはできてもうまく言葉にできないから言葉の代わりにブリュンヒルデとの共通言語たる槍を振るうし、彼女自身のこころに、意思にしたがってすべてを見届けることを選ぶ。

このあと、中盤のラストかつ佳境の幕開けとしてシグルド戦があるわけですが、ブリュンヒルデの感情がね……本当に……スルーズとヒルドは異聞帯も汎人類史も関係なくお姉様が大好きだから自らブリュンヒルデに貫かれることを選ぶし、ブリュンヒルデは「シグルドを殺す」存在として刻まれているからシグルドを殺せるわけではなく、正しい彼を愛したからこそ、異聞帯で悪を為すシグルドを殺す。シグルドを愛したから、シグルドを殺すことだけを見据えて、他の可能性には見向きもしない。真の勇士の魂こそを愛するからこその、燃え盛る炎のように苛烈でひたむきで狂おしい、そんな戦乙女たちの愛なんだよな……

で、そうしてシグルドを討った……と思いきや、そこからのあのシナリオってさあ~~~!!!!いやもうすごすぎるんですが……シグルド霊基上書き説は当たってたけどこんなんだと思いもしなかった……ここ、シグルドではないとブリュンヒルデが気付くきっかけが二人がかつて交わした会話というところがめちゃくちゃいい。二人が互いに向かい合いながらたくさん話をしていたからこそなので……霊核が破壊されてスルトが解放されたことで、ここでシグルドが自由になるのも、スルトの剣からマシュたちを守るのもアツい。ブリュンヒルデの愛した勇士の魂……シグルドが立ち上がるのは、冒頭でスルトの刃を止めたときも今も、限界を超えてなお立ち上がり、絶望が形になったようなスルトに立ち向かうマスターとマシュの姿があってこそなんだよな……

若干前後しますが、今回限り肩を並べて共闘できるブリュンヒルデとシグルド、よかったねえ!!!の気持ちでいっぱいになった。二人して既に霊核が壊れかけているからこそ、思いがけずブリュンヒルデの夢が叶ったように、異聞帯にだって希望があり、未来があるんですよね。このあたりの話は最後の部分でちゃんと触れますが……ブリュンヒルデばかりが愛が重い系女子かと思いきや、シグルドが「当方は生存し、尚且つ愛を証明してみせよう」というスタンスなの、も~~~~~ベストカップル!!!!!かわいい!!!!!お幸せに!!!!!!という気持ちになる。いやほんとうにお似合いの、お互いがお互いにぴったりの二人で、見てるこっちが最高に幸せになるでしょ……もうほんとこのときの二人がめちゃくちゃいい笑顔で最高にかわいい……どこかのコンテナで幸せになるんやで……

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思い返せば何度も言及されていた太陽の正体がようやく明らかになり、ホームズの言葉を借りるなら解決編へ……と思いきや、確かに解決編は解決編なのだけど、そのうえでなおまだ明かされていなかったと判明するものがあるの、重ね重ね本当に物語として上手いんですよね。終わったと思って全く終わってないの、あまりにも上手い。私はスルトの独白に一番アアーーーーーー!!!!!となりました。いやもうね……本当に……オフェリアとキリシュタリアとナポレオンとスルト、あまりにもあまりにも感情が渦巻いてやばすぎる。たくさん話をして二人の関係と愛を育んだシグブリュとの対比もはちゃめちゃにやばいし……感慨が先行しすぎてうまく文章に起こせなくて、このブログ、マテリアルを読み返しスクショの山を見返してはひたすらハア~~~~~となりながら書いています。

 

■いつか王子様が

ここまできたからようやくオフェリアの話ができるぞ!!!!!ねーーーえーーーーー15節めちゃくちゃ刺さったんですが…………あの淡々とした序盤からこの佳境になるなんて全く思いもしなかった……ドドドやばかった……あまりにツボ……グサグサに刺さる概念全部盛りだし、しかもまさかの「嘘つき……」だし、あまりにも私特攻だった……わたし「うそつき」がほんっっっっっとうに一番のピンポイントのド性癖台詞なんですよ……!!!志摩廉造はあんなだし緋色シリーズラストで江戸川が降谷に言った「うそつき」がなかったらこんなことになっていないので……ウウーーーーッナッさん…………炎の快男児だよ……わかるもん……ナッさん……人理の英霊、炎の快男児、期待に応える男……

TLがおおむね2章をクリアしていて私がまだ始めてもいないタイミングのとき、回ってくるツイートがだいたいキリシュタリア様……みたいなかんじになっていて、2章で何があった……!?という気持ちだったんですけど、ハアーーーーーーー、なるほどね……これは唯一知っているオフェリアからしたらキリシュタリア様になってしまう……コヤンスカヤがオフェリアに「あの方の綺麗事も大概ですが、その根底にあるのは紛れもない人類愛。人間の基本原則……その野生(せいしつ)は、助け合い、認め合い、殺し合う事だとしっかり受け止めていますのに」と言ったときにはそうなんだ……と思う程度だったのが、ここにきてなるほどな~~!!!となるんですよね。「人類悪とは即ち、人類愛そのもの」なんだよな……人類が滅ぼす悪、人理を守ろうとする願い……キリシュタリアが他の6人を救ったことを誰も知らず、オフェリアだって彼女の魔眼がなければ知らないままだったように、プレイヤーもまたオフェリアの独白がなければ知らないままでいたように、きっとプレイヤーの手持ちの情報だけでは人理再編の背景の全てには遠く及ばないんですよね。終章のときも同じ構図で、きっとクリプターたちが星の漂白という選択をするに至った理由が開示されればまた見方ががらりと変わるのだろうな。とはいえ異星の神ばかりは本当になんともいえませんが……もはや本当に「異星の神」かもわからないし……

そうしてなんとしてもキリシュタリアの期待に応えようと思いながら召喚したはずのシグルドがスルトだとわかったときの衝撃たるや……と、プレイ時はなんて不運な……!!と思ったんですけど、最後まで読んでから改めて読み返すと、本当に……ねえ……!!スルトの側から物事を見ると受け取り方ががらっと変わるの、もう、あまりにも構成が上手い……こんなんずるいでしょ……

スルトがオフェリアの魂を掴んだの、召喚後すぐのもうこのタイミングだったの、読み返してはじめて気づきました。魔術師は恋をしない、恋の代わりに絶対の忠誠を抱くキリシュタリアの意見を仰いで、そうして自分の為すべきことをしようと決めたとき、オフェリアはちゃんと自分の足で踏み出そうとしているんですよね。悲鳴の代わりに咄嗟に令呪で自害を封じるだけの冷静さと判断力と行動力だってある。そしてそれ以前にも、燃え盛る炎のなか、ちゃんと自分に与えられた運命と向き合おうと前を見据えている。そこでスルトを視てしまったのが彼女にとっての不運であり、スルトにとっては幸運だったわけですが……

本来、オフェリアはちゃんと自分で自分の運命を見据える強さを持っている。「キリシュタリアの期待に応えたい」という他者の存在ありきだったとしても、自分の運命から逃げない、自分のするべきことをしようと思うのは他ならぬ自分。でも、そんな彼女を変容させたのが、スルトの呪詛だった。言及はなかったけれど、両親の多大な期待や自己肯定の低さ、「魔術師は人のようには想いを抱かない」という価値観の内面化など、オフェリアには自分自身によって幾重にもかけられた呪縛があったのだと思います。本来スルトの呪詛はその人を丸ごと作り替えて思考や選択を操るような強さを持っているのだろうけど、「抵抗力が強い」と言っていることを踏まえるときっとオフェリアにはそこまでの強制力をもって作用はしていないはず。とすると、スルトはほんの少しオフェリアの精神のバランスを崩した程度なのかもしれない。自分で自分にかけた呪縛もあいまって、彼女は一歩も動けなくなってしまう。

自分自身が嫌いで、自分では外への一歩が踏み出せなくて、誰かが自分を連れ出してくれるのをずっと待っていたオフェリア。恋した相手は自分の手を引いてはくれない。自分の先を行っているから、行く先を示してはくれても背中を押してはくれない。王子様は現れない。ハッピーエンドへと連れていってくれる王子様なんて、そんなものはいない。

だから、やっぱりオフェリアは、自分自身の意思で、自分の足で一歩踏み出す以外に、ない。

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ナポレオンとオフェリアの関係性の何がやばいって、一見ナポレオンによるオフェリアの救済のように見えて、突き詰めていくと救済とは全くの別物であるところなんですよね。きっかけはナポレオンの言葉だけど、それはほんの後押しにすぎない。ナポレオンの行動や言葉がオフェリアの心を動かし、まっすぐに貫いたことは確かだけど、それらがオフェリアの行動を決定したわけではない。一歩踏み出したのは、ほかでもないオフェリア自身の、オフェリアだけの意思なんだよな……ナポレオンのオフェリアに対する姿勢・行動、彼女にかける言葉は献身であると同時に「オフェリアの笑顔が見たい」という紛れもないエゴだし、そういうストレートな感情がオフェリアの呪縛を砕いたのだけど、ナポレオンの献身やエゴがオフェリアを変えたかというとそんなことはなく、もとより彼女が持っている、己の運命に立ち向かう本来の強さがあることを思い出させただけ。オフェリアにかけたスルトの呪詛を砕いたのは確かにナポレオンだけど、彼女に幾重にもかけられていた呪縛から自分を解き放ったのはオフェリア自身で、だからこそ彼女は堂々と胸を張ってその一歩を踏み出し大きく息をして、そして「意外に、気持ちのいいもんだぜ」というナポレオンの最後の言葉に対して「嘘つき……」と言えるんですよね。同じ「一歩踏み出す」という選択であっても、この選択はキリシュタリアの意見を仰ぎそれに従おうというのとは全く違う。彼女自身の意思による、彼女のためだけの行動なので……

ナポレオンがオフェリアに対して言葉を投げ掛けるたびに鳴る、硝子が砕けるような音がとても印象的なシーンでした。「胸を張れ。オフェリア。オマエは、ただ、あるがままで美しい」がね、本当に……本当に……あるがままの自分で、ただそれだけでいい、そのままの自分を大切にしてほしいという、人生の先輩が後輩に送る祈りと愛なんですよ……!!ナポオフェ、導入は男女の愛と思わせておいて、英霊の生者に対する愛なのが、もう、本当に、めちゃくちゃに最高だった……そしてそれを受けてオフェリアが言うのが「私にも、希望のひとつくらいはあるの。いえ、あったのよ。お節介なアーチャーのお陰で気付けたわ」っていうのがさあ!!!もともとあったことに気付く、もともとあったものを思い出すという……「視ないようにしてきたものが、今は視える。自分自身が何を為すべきなのかも」という言葉のとおり、気づかなかっただけで、目を背けているうちに忘れていただけで、本当は最初から全てを持っているんだよな……

救済とは全く違うものというのはまさにここなんですよね。これは私の持論ですが、他者に与えられるだけの救済なんてものは存在しないと思っています。究極、人は誰も他者を救わないし救えない。救われたと思うのもそこからまた立ち上がるのも、その人自身の主観、その人自身の選択であり、他者はそのきっかけや影響を生み出した触媒にすぎないわけで。これは過去のツイートから発掘してわかりやすい!!となった例えなんですが、親知らずを抜くときに誰かが手を握っていてあげたとして、それはあくまで「手を握っていた」それだけなんですよ。その手に励まされたのは主観にすぎないし、手を握っていてくれるなら抜こうと決断したのだって主観に基づく選択。誰しも自分の人生以外に決められることはない。その人の人生は本人にしか選べない。

そういう意味で、ナポレオンとオフェリアの関係性はもう本当に100点中8000億点なんですよ……!!!!!!ウウーーッ自己肯定の獲得はどんなシチュエーションでも何度でも良い……だいすき……ほんとうに……「立って歩け、前へ進め あんたには立派な足がついているじゃないか」なんだよな……前でも後ろでも右でも左でもいい、とにかく動くこと、その選択をしたということこそが一番重要……めちゃくちゃ泣いた……だいすき……

キリシュタリアに従おうとした自分もスルトの復活の契機となってしまった自分も呪詛に取り込まれかけていた自分も悔いることなく、「私は希望をもってこうするの。だって、せめて、私はあのひとの期待に応えたい」と自分の意思で選択するところがさあ、まさに、ナポレオンが伝えたかったことがちゃんとオフェリアに届いたことの証じゃないですか。そして、これまで輝くさまを視ないようにしてきた彼女が大令呪を使うときの言葉が、「輝け」なんだよな……オフェリア……ぐだこちゃんもだしマシュもだしアナスタシア様もだし、前を向くことを決めた女は強い……だいすき……

2章クリア後、時間差で大令呪の代償は術者の生命だということはアナスタシア様の真意は……と気付き、カドアナーーー!!!!!となって大変だった。しかもそのときちょうどルルハワで拉麺好き好きアナスタシア様本が出て、なんかもうやばかった……「そんな勝利に、何の意味があるのでしょう」ってつまり、「あなたのいない世界に何の意味があるのでしょう」てことでしょ???む、無理……ウウーッ……アナスタシア様……カドックくん、なんとしてでも生きてくれ……

そして、ナポオフェに貫かれてべしょべしょになりながらスルトを倒した、そのタイミングでスルトの独白が入るの…………ほんとうに…………何………………??????こんなん、ここでこんなん、すべてがガラッと変わってしまうじゃん……スルト…………スルトからしたら、自分を唯一見つけてくれたオフェリアの存在こそが希望だったのかもしれなくて、でもそれは最期まで誰にも届かないままというのがさあ……

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もしかしたら、スルトは破壊と炎でしかない自分が彼女にできることなんて人の尺度においては存在しないと思ったのかもしれないけれど、でも、もし仮にオフェリアとスルトがちゃんと話をしていれば何かが違ったのかもしれないとか、でもそうして言葉という枠に押し込められることで失われるものが確かにある以上、きっとスルトはやはり何も言わないまま、オフェリアへの感情とともに心中することを選ぶのだろうなとか、そんなことを思い……戦いの最中、何度も呼ぶオフェリアの名に込められているのは裏切られたという怒りや自分を滅ぼそうとする怨みだと思っていたけれど、本当は、と思うと……あまりにも切ない…………知ったうえで読み直すと、断末魔が「なぜ」という嘆きのようで、本当に胸が詰まって思わず泣いてしまったよ……なぜこうなってしまったのだろう、そんな呼び声すらもオフェリアには届かない。そうして切除されてゆくのが、異聞帯というもののかなしみなのかもしれない。

 

■責任と誠意

でも、行き止まりの人類史でも、明日がなくても、願いを抱けない世界でも、「異聞帯」という世界が存在する以上、そこで暮らす人々は確かに生きているんですよね。ナポレオンは異聞帯のことを誰も希望も願いも抱けない世界だといったけれど、スカサハ=スカディはこの北欧世界こそを奇跡と呼ぶ。きっとそのどちらも正しくて、どちらの側面もあって、どう捉えるかはその立場によって簡単に変わるものなのだと思います。でも、1章の感想でも書いたように、汎人類史というただひとつだけを守ろうとするなら他の可能性を切り捨てなくてはならない。だからこそ、彼女たちは、選択することの責任を何度も口にするのだろうな。そのことを忘れないように、後ろに退いてしまわないように、目を背けずに全てを背負って前に進むために。

1章ではまだカルデアの彼ら彼女らに迷いがあったけれど、パツシィの「負けるな。こんな強いだけの世界に負けるな」やナポレオンの「生きているのなら進め。生者の進む先が、人理の行く先だ」という言葉が、彼女たちの求める明日を手にするための指針となっている。それでも、本当にこれでいいのかという不安や迷いが彼女たちの歩みを鈍らせることもきっとこの先ある。そういうときには、イヴァン雷帝の「貴様が認めずとも、余は認め、去りゆくのみだ」という言葉や、スカサハ=スカディの「己が人理を救わんとするならば、殺せ! 我らを踏み散らしてゆけ──汎人類史のモノども!」という発破が、再び彼女たちの足を進ませるのだと思います。

スカサハ=スカディに明かされる空想樹の名前、一体どんな意味なのかと思えば、なるほど銀河の名前……これは完全に蛇足の余談なんですけどソンブレロって何だろうと思ってぐすんぐすんなりながら検索したら一番最初にWikipediaの謎のおじさんのイラストを見てしまって、……???となってしまった。ぐぐってください。というか、それはどうでもよくて、異聞帯を支える銀河、Cosmos in the Lostbelt、なるほどな~~~~!!!あまりにもうまいでしょ……なるほどね…………あとからの情報の開示の仕方が本当に上手いんだよな……ゲッテルデメルングのバナー、なんでこの色なんだろうと思っていたところ、空想樹を飲んだスルトを見てアッ!!!!!てなったし、最後の最後にオフェリアとマシュの回想を持ってくるのさあ……!!!!一緒に食事をとること、とりたいと思うこと……ウウーーッ……嫌いな相手やなんとも思っていない相手とは一緒に食事をしようとは思わないので……相手ともっと話してみたいから、そうして相手を知りたいからこそ声をかけるし、相手もそう思っているから笑って頷く……マシュもオフェリアも人とのつきあい方に不馴れすぎただけで、きっともう、とっくの昔に友達になれていたはずだったんだよな……

そして、ホームズが言ったように、人類史そのものによって不要と判断され切り捨てられたとしても、そこに生きる人々に罪はなく、文明に落ち度はない。消えゆく獣国を、彼らが余剰と切り捨てた無数の綺羅星が包んでいたように、春を迎えられなかった北欧の世界を浚っていくのは、春の芽吹きを感じさせる暖かな風なんですよね。

彼女たちは無数の屍を越えて、その思いも抱いて進み続ける。相手を知ろうとすることも、辛くても思い出すことも、主語が「自分」だということを絶えず再認識するということ。それは自分の選択に対する責任であると同時に誠意だし、そういう誠意をしっかりと持って向き合っているからこそ、「自分達はそれでも進む」という意思を持ち続けることができるのだと思います。

 

これだけ長い記事になってしまったのでわかってもらえると思うんですけど、2章、あまりにも、性癖直撃大爆発だった……反復が上手いからこそ語り始めると無限ループになってしまって、文章に起こすのが超大変でした。特にキリシュタリアとオフェリアとナポレオンとスルトのところ……なんとこの記事18000字あります。長……

2章、もう本当にめちゃくちゃ良かった……しんどいし苦しいけど、どこまでも誠意があるので……ありがとう……鉄の棺桶にすべてを積み込みながら、これからも進むんだなあ……

さて、ゲッテルデメルングプレイ中に、なんと!!!ずっと爆死していた婦長が!!!!きました!!!!!!めでたい!!!!!!そしそして調節していたわけでもないのに、スカサハ=スカディ戦で絆5になりました。ウウーーッ好き………………

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婦長がきてくれて(しかもその後まさかの宝具2になった)物欲が消えたのか、その後空前絶後の星5ラッシュが続き、なんと1日にアナスタシア様と英雄王とアキレウスさんがきて、しかもアナスタシア様は極大成功呼符1発、英雄王とアキレウスさんは2枚引きという……何……あの日まじですごかった

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そして、実装された新宿のアサシンの幕間「ある侠客の死」が、もう、ほんっっっっっっとうにウルトラスーパーエクセレントグレイテスト幕間で……わたしは……わたしは……ほんとうに……なんであれは新宿のアサシンがいる人しかできないの……?完全に新宿のエピローグじゃん…………うちの新宿のアサシンは星4配布のおかげなんですけど本当にあのとき欲望に正直になってシンシン選んでほんとうによかった…………

新宿のアサシンの幕間をまだやってない人、絶対にやって!!!!!!もしくは新宿のアサシンを引いて!!!!!!!ていうかまた星4配布をやってくれ!!!!!!!頼む!!!!!!今回は以上です!!!!!