基本的に壁打ち

長文たち Twitter→hisame_tc

感想

急ハンドルで崖から転落

好きな作品を読み返して見返して愛し続けて、こうやってこのまま穏やかな日々を送っていくんだろうな……、と思っていたのに、不意に頭をぶん殴られるような衝撃に襲われることがある。2023年にもまさにそういう出会いがあった。VIVANT、というかもっと言えば…

物語というあなたへ

私たちの日々には、あまりにままならないことが多い。 違国日記4巻の、物語がどういう存在かということについてのやり取りがとても好きだ。「物語が必要」ということは、私たち、小説や漫画やアニメや映画や音楽や絵画やゲームや、あらゆる創作を愛するすべ…

理想郷などなくても

2020年はあまりにも多くの出来事が起きた年だった。情勢的な意味でも、生活の範囲内という意味でも。あまりにも多くのことが変わり、変わってはそれに慣れて、そしていまも刻々と変わり続けている。私たちは、そういう日々のなかを生きている。 振り返れば今…

一番身近な魔法 ―「だから私はメイクする」感想

去年の8月、社会人2年目、2回目の海外出張。記念として自分へのおみやげに、免税店でアイシャドウを買った。CHANELのレ キャトル オンブル。一緒に行った上司はそういうの何か言ってきそうな人だったので、職場のみんなへのおみやげ買ってくるからゆっくりし…

光ある人生・中編 ―「風が強く吹いている」感想

時間があいてしまいましたが、「風が強く吹いている」感想文・中編です。7話~13話の話を中心にしています。 前編はこちら。 ■見ようとすれば見えるもの 箱根を目指すことを決め、7話からは実際に公認記録というハードルを越えるための戦いが始まります。は…

光ある人生・前編 ―「風が強く吹いている」感想

「風が強く吹いている」についての文も3本目となりました。最終話を見た翌朝に1話をあらためて見返したところ、ラストのこのカットに感情が爆発し、勢いのままに運命とはなんぞやという文を書き、そして全話見返したり小説を読み返したり噛み締めたりしてい…

運命の必要条件

「やはり思うだけじゃだめなんだなあ。願いは口に出して言うべきだ。運命は自分で手繰り寄せるしかない」 アニメ『風が強く吹いている』第1話「10人目の男」 アニメ「風が強く吹いている」の放送が終わってしまった。最終話である第23話「それは風の中に」は…

アニメ化という翻訳 ―「風が強く吹いている」13話に寄せて

「走、走るの好きか?」 はじめて会った夜にも聞かれたことだ。走は言葉に詰まった。 「俺は知りたいんだ。走るってどういうことなのか」 『風が強く吹いている』(三浦しをん) 二、箱根の山は天下の険 本記事には小説「風が強く吹いている」およびアニメ13…

何度でも床は抜け金だらいは頭上に落ちる

君はもう、かんばまゆこ先生の「錦田警部はどろぼうがお好き」を読んだだろうか。 「けいどろ」こと当作品は、昨日今日において間違いなくどの作品をも上回る瞬間最大風速を記録した作品だ。 読んでいない君はいますぐKindleでぽちっとやるかサンデーの公式…